HUMAN HUMAN 連載
2016.12.5

本を参考に、絵の具で描き足していく楽しさ。

紺野真 (uguisu/organオーナーシェフ)

紺野真 (uguisu/organオーナーシェフ)

本を参考に、絵の具で描き足していく楽しさ。

人気気ビストロ『organ』の店内には、大きな本棚が据えられている。そこに並ぶ本の多くはオーナーシェフである紺野さんが繰り返しページをめくり、店と共に“育って” きたもの。ときにはフランス料理の歴史に襟を正し、ときには新進気鋭のシェフが織りなすセンスに驚き、ときには旅先で飲んだワインの味を思い出しながら……。「年に一度、自分の誕生日にスタッフ全員へ本をプレゼントするのが習慣」と紺野さんは話す。「どこかで修行したり、師匠がいた訳ではないので、いわば本が教科書であり先生。本から教わることは多いと思うんです」

%e7%94%bb%e5%83%8f34

学生時代を過ごしたカリフォルニアで目の当たりにしたのは、ブックカフェで思い思いに本と飲食を楽しむ人たちの姿。その経験は、紺野さんがつくりあげてきたお店の原風景になっている。「お店を作った当初は、自分の舌を頼りにワインを選んでいました。ナチュラルなワインについて調べるうちに、同じようなワインを好んで集めている人が数人いたんです。そのうちの一人が大橋健一さん。当時そうしたワインを解説した本は、大橋さんが書いたこの一冊だけでした」オーガニックとラベル上で謳っていても、有機栽培のワインに科学的な成分を追加したものも多いのだという。フランスには、一から十まで厳しい管理のもとにワインをつくりあげる醸造家がごくわずかだが存在する。「この本を参考に農場まで足を運んだこともあります。スタッフにも頻繁に貸している一冊ですね」レシピ本も繰り返し手に取るという。「大まかな手順を参考にし、あとは自分の絵の具と描き方で」と紺野さん。舌鼓を打ちながら、本棚も愉しみたくなるビストロがここにある。

books

左上から順番に1)うちのお店で“赤本” と呼ぶ三谷青吾シェフのレシピは、スタッフ全員が読んでボロボロに。2)10日ほど研修に行ったパリのレストラン『Spring』で頂いた。フランス料理の革命児ポール・ボキューズのレシピ。3)ナチュラルワインの情報が殆どなかった時代に、日本語でのほぼ唯一の情報源であり、非常に助けになった大橋健一さんの本。4)筋金入りのグルメである、パリ在住の友人・川村明子さんが馴染みの店を紹介している本。5)NOMAはアイディアの宝庫。シェフ、レネ・レゼピの書いた日記は旅に持って行くほどお気に入り。6)田代和久シェフからは、レシピだけでなく真摯な姿勢も学んでいる。

buono 最新号

最新号
buono Vol.9

¥980 (税込)
2017.08.05

詳細はこちら