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2016.10.6

日本酒界が注目!伝統と革新を胸に携えた秋田発・「新政」の酒造りが面白い

日本酒界が注目!伝統と革新を胸に携えた秋田発・「新政」の酒造りが面白い

革新的な酵母を生み出した歴史ある蔵に息づく若き決意

昨今の日本酒の世界で話題をさらい続けているのが、秋田市の酒蔵「新政」だ。江戸時代末期に誕生した老舗の蔵は、今、若き八代目の蔵元のもと、革新と伝統への回帰という2つを軸に本当に美味しい酒造りを模索している。その中心人物である八代目・佐藤祐輔さんに蔵を案内してもらった。
「今うちが取り組んでいるのは、トレーサビリティと無添加です」と佐藤さん。原料である酒米は秋田県産、しかもその8割を契約栽培にしている。そして酒造りの工程においては、純米、生酛造りといった日本古来の酒造りへの回帰を図る。現在の酒造りの主流は、酸味料を添加して雑菌を抑制する速醸と言われる酒母製法だが、生酛造りではそういった添加物を使わない。天然の乳酸菌など、自然の微生物の力を借りて酒造りを行うのだ。

「速醸ならば10日前後でできる酒造りが、生酛造りでは3~4週間余計にかかります。生酛を仕込む酒母室での工程だけで40日かかり、専任の担当者も3人は必要。それでも新政らしい酒造りには、生酛造りが一番合っていると思うのです」
そう話すのには理由がある。現在の日本酒造りに欠かせない酵母の原点である「き ょうかい6号酵母」は、昭和5(1930)年、醸造研究者でもあった五代目佐藤卯兵衛の時代に、この新政の蔵で生酛造りの もろみから発見されたのだ。極低温で発酵するまったく新しい性質を持った酵母は全国に広まり、現在使用されている酵母すべてが、この6号酵母の遺伝子を受け継いでいる。酒造りを継ぐつもりはなかったという佐藤さんが、日本酒本来の美味しさに目覚めて現代的な醸造法に疑問を感じ、本物の日本酒造りに挑む礎になったのが、この歴史的な酵母の存在だった。そして今、佐藤さんは実験的な「やまユ」シリーズや「新政NO6」シリーズ、貴醸酒シリーズなどを世に発信し続けている。

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歴代当主たちの思いを受け継ぎ、未来へ

新政酒造は地酒として愛されてきたものの、全国的に評価されるような存在ではなかった。それを大きく変えたのが、五代目佐藤卯兵衛氏の存在だ。彼が目指したのが、北国ではできないと言われていた吟醸酒造り。様々な研究を重ね、品評会においても優秀な成績を収め始める。そうした流れもあり、醸造試験所の技師によって「新政 酵母(きょうかい6号酵母)」が、世に出ることになったのだ。
そういった歴史ある蔵を継いだという意識が、当代の佐藤氏の胸のうちにもある。蔵内部の温度管理など、現代だからこそ可能な技術によって生酛という伝統的手法に回帰する。そこに、新政ならではの特徴を持つ旨い酒が誕生するのだ。
「毎年、こうしてみてはどうだろう、と試行は続けています。 今挑戦しているのは、この蔵に住んでいる天然酵母だけを使って酒を造ることですね」と佐藤氏。先祖が見つけた酵母に次ぐ、新たな新政の味わいの源が生まれようとしている。

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